トップページ > 食と健康講座1 いつまでも健康に過ごすために摂るべき食事を考える。
病気予防に効果的な食材を知ろう
高齢化が進む日本、病気を防ぎ健康に過ごす"健康寿命"を伸ばしていくことが肝心です。そのためには、どんな食事が効果的なのでしょう。
病気を予防し寿命を伸ばす食材としてまず注目すべきなのが、フィトケミカルです。人は酸素を取り入れてエネルギーをつくりますが、その過程で一部の酸素が化学変化を起こし、活性酸素に変わります。とくに添加物が含まれた食品、喫煙、大気汚染、紫外線、ストレスなどは、活性酸素過剰発生の原因になるとされています。活性酸素は体内の細胞を酸化させ、細胞の正常な働きを失わせます。その結果、老化やいろいろな病気を引き起こすことにつながるといわれています。フィトケミカルには、この活性酸素を抑え体内の酸化を防ぐ、"抗酸化作用"があるのです。
フィトケミカルは野菜や果物の中に多く存在しており、その数は数千種類以上にも及ぶといわれます。また野菜や果物以外に、魚や肉にも強力な抗酸化物質が含まれています。たとえばサーモンには、体に必要なビタミン類に加え、アスタキサンチンという抗酸化物質が含まれていワす。アスタキサンチンはトマトなどに含まれる赤い色素・リコピンに構造が似ていますが、より強力な抗酸化作用をもち、脳に働くことでも知られています。多くの種類の野菜や果物、また、魚や肉をバランスよく摂ることが、健康を支える食生活の基礎になるといえます。
カロリーと健康の関係
健康を維持するうえで次に重要となるのが摂取カロリーと栄養素です。みなさんは、自身の体に一日あたりどの程度のカロリーが必要かをご存じでしょうか?
適正エネルギーを知るには、まず自分の標準体重【身長(m)×身長(m)×22】を把握しましょう。その標準体重に25〜30をかけた数値が、一日に必要なカロリー摂取量です。将来における生活習慣病の予防のためには、カロリーは必要最低限に近い食事を心がけることが肝心なのです。
これは化学的にも明らかにされており、たとえばラットなどを使った実験では、カロリー制限をしたものは通常食のものと比べて、最終的に寿命が3〜4割延びていることが分かっています(図1参照)。
また、アカゲザルに15年間カロリー制限を行ったアメリカの研究では、低体温、低インスリン血症、高DHEA-S血症が長寿の指標であることが示されています。同様の結果が、65歳以上の男性約700人を20〜25年にわたって健康状態を追跡調査したボルチモア長期縦断研究でも示されています。
適正なカロリー摂取は健康維持につながりますが、過度なカロリー制限は栄養素が不足し骨や筋力の低下を招くことがあるので注意が必要です。それらを防ぐためにも、ビタミンやミネラルは十分nに確保するようにしましょう。
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順天堂大学大学院研究科加齢制御医学講座教授。ヘルシーフードライフでは、食による予防医学の第一人者、順天堂大学教授の白澤卓二先生を中心として、健康な食にまつわる様々な方の体験、実践をご紹介し、皆様が身体の内側から健康に、美しく、若く、改善することをサポートしていきます。